AAC の音質の悪さ

BS デジタルの機器を導入してからしばらくは、目新しいこともあり、音楽番組の音質にもある程度満足していた。BS デジタルの音声フォーマットである AAC(Advanced Audio Codec) は、少なくとも地上波アナログのようなバズ音はなく、デジタルの強みでどのチューナーやビデオデッキでもそこそこ安定した再生ができるのは良い。
しかし、最近、アンプを替えたが AAC の音ってこんなショボイものなの? という疑問が消えない。今まではアンプの DAC(D/A Converter) のせいかとも思って、自分のせいであり放送のせいではないと信じて、それなりに我慢しながら聞いていた。しかし、アンプを替えたしもう自分側の要因はなく、もう放送の AAC に基づく要因しか残っていない。
なお、AAC のデコードはある程度デコーダーの裁量に任されるらしく、再生音のグレードはデコーダーには多少は左右されると聞く。DSP-AX1 や DSP-AZ1 よりも、DSP-Z9 のデコード性能は優れているらしいと聞くのだが、そもそも AAC ってそんなにデコーダー側に負荷がかかるものなのか? すなおにリニア PCM で放送してくれればデコーダー側もそんなに凝る必要もなく、それで良いじゃん。なんでこんな変な仕様にしてしまったんだ?
こう思うのも BS2 の紅白の再放送(音声は2チャンネル)を、BS デジタルを D-VHS にストリーム録画したものと、BS アナログを D-VHS の STD モードで再エンコード録画したもの、で比較すると、画質も音質も後者のほうが良いと感じるからだ。ちなみに、アナログ BS の音声は Aモードか Bモードのいずれかでとにかくリニア系の PCM である。もっとも A モードなら対数圧縮はあるけど。
たしかに AAC だとノイズ感はなく、そつはないのだが、とにかく高域のシャリシャリ感もずっしりした低域の重み感もない。BS アナログだと録画すると再エンコードに伴うノイズっぽさとはあり、ハッキリ言って汚い音だけど、高域・低域の情報があるので、まだそっちのほうがマシだ。
とくにステレオのソースに DOLBY PROLOGIC II や dts Neo:6 などを使う場合、ないサラウンドを作り出すことになるが、もとが AAC だともとの情報が少ないため、作り出されたサラウンドもショボクなってしまいがちだ。AAC でも 5.1ch ならまだそこそこ聞けるのだが。
いっそのことステレオ放送であっても 5.1ch で放送し、メインチャンネルから欠落した情報をサラウンドチャンネルで補う。そして、受信側で、これを高品質なステレオとしてデコードして聴く、という放送モードを規定してはどうだ。これなら今からでもできるし、アンプの買い換え需要も期待できるぞ。しかし、本末転倒だな。ホントに BS デジタルには PCM のモードはないのか? 地上波デジタルにもな PCM はないのか?